Japanese Game Industry

Fusion of Hard and Soft Strategy is Urgent For Japanese Game Industry: ゲーム産業の知財戦略における機器政策とコンテンツ政策の乖離
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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 東京ゲームショウ2008が開幕(9 Oct. 2008)したが、その基調講演で極めて注目されるのは、社団法人コンピュータエンターメント協会会長・和田洋一スクエア・エニックス社長の日本ゲーム業界に対する危機感の表明である。

 その内容を考察するに先立ってSANARI PATENTの所見を述べれば、日本ゲーム業界の戦略と内閣知財戦略本部の計画におけるハードウエア政策・戦略とコンテンツ(ソフトウェア)政策・戦略の乖離を即刻融合することが緊要である。
 すなわち、内閣知財戦略本部の知財戦略はコンテンツを他の知財と並列して戦略対象としたから、必然的にソフトウェア戦略となった。知財推進計画2008を見ても、コンテンツ以外の特許権等の創造・保護・活用の各章にゲームに関する指摘は見られず、コンテンツの章にはゲームのコンテンツが特掲されることなくソフトウェアの創造に意識が集中している。従って、コンテンツの章は、「ネットやソフトウェアの日本発の新たなビジネスモデルを展開する」という政策重点のもとで、「動画配信ビジネスの成長」「地上デジタル放送」「通信放送融合サービス」「検索サービス」「コンテンツの海外販路開拓」「コンテンツ取引市場の形成」に関心が集中し、上記和田洋一氏の危機感に即応する問題意識が見られない。

 和田洋一氏の危機感の要旨をcesa.com(12 Oct. 2008)の報告(SANARI PATENT要約)によって 見れば、
(1)  1980年ごろ、世界市場でゲーム業界のハードウェアメーカーは殆ど日本企業だった。任天堂セガに加えて多くの家電メーカーが独自のゲーム機器を競い合った。各社は、自社のハードウエアをより魅力的なものにするためゲームソフトウェア会社と緊密に連携して仕様を決定していた。このような積極的な業界交流によって日本が世界ゲーム業界の中心になった。
(2)  しかし現在は、Microsoftが家庭用ゲーム機に参入し、Intelのような半導体企業やValveの「Half Life」のようなMOD(ゲームソフトウェアの拡張ソフトウェア)のコミュニティが欧米で活発化し、業界をつなぐハブの機能を営むようになった。
(3)  日本も、ゲームコミュニティが活発な時機にテレビや映画など他産業と協業したり、学校教育と連携する努力をすべきであったが、これを欠いたことが、日本のハブ機能が劣化し、日本のゲーム業界が世界のリーダーでなくなった原因である。

SANARI PATENT所見
 ソニーのように、ハード・ソフト兼備を標榜している企業もあり、コンテンツ別建ての戦略・政策構造を、先ず内閣知財戦略本部が見直すべきである。
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Game Industry、ゲーム、ソニー和田洋一、コンピュータエンターメント協会