Yahoo Legal Business Director Mr. N.Bessyo Opines on Fair Use

Yahoo Legal Business Director Mr. N.Bessyo Opines on Fair Use: 内閣知財戦略本部専門委におけるヤフー株式会社法務本部・別所直哉本部長の意見
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 東邦チタニウム新日鉱ホールディングスに連結(20080712記事)
別サイト http://sanaripatent.blogspot.com/  甘利経済産業大臣原油国際会議の連続性を評価(20080712記事)

 内閣知財戦略本部のデジタルネット時代・知財制度専門委は、「著作権制限の一般規定(日本版フェアユース規定)の導入について、引続き検討しているが(20080710)、同日の参考人・ヤフー株式会社(Yahoo)・別所直哉法務本部長の意見を考察する。

1. 意見の内容(SANARI PATENT要約)
1-1 わが国著作権法著作権制限規定は限定列挙型であって、技術革新の速度に法改正が追随できない。裁判所で法が創造されている現状であり、却って予想可能性が失われているのではないか。(SANARI PATENT注:著作権が制限されう場合が限定列挙されていることは、著作物利用ないし流通諸行為の合法性判断に予測可能性を与えているように見えるが、実際上、裁判で決着せざるを得ない技術革新現象のもとでは、却って予測可能性をなくしているという疑問提起と解する)。
1-2 グレーエリアが続出し、「黙示の許諾」や「権利濫用」の法理では対応が難しい著作物利用ないし流通が現出している。
1-3 利用ないし流通行為の合法性が不明確であるため、新規サービスの創出が委縮している。
1-4 本来、著作権法における権利制限規定の役割は、著作権の保護と、学問の自由、表現の自由という憲法条項に基づく利用者の利益(SANARI PATENT注:むしろ「人権」)の調整を行うものであり、それが結果として文化・産業の発展に寄与する。
1-5 上述1-1~1-3のように、現行法はその役割を果たしているか疑問であり、フェアユース規定の創設によって始めて、権利の保護と利用のバランスを適切に行い得る。特にコピー機能を基本機能とするデジタルコンテンツの社会においては、フェアユース規定が不可欠である。
1-6 米国著作権法フェアユース規定を有し、現在のインターネット上のサービスの多くは、これによって米国で発達したものである。
1-7 インターネットを通じてアクセスできる様々な情報資産について、活用の道がわが国内で閉ざされるならば、情報資産自体が、フェアユース規定を持つ外国に移動する。
1-8 従って、「フェアユース・ルールの創設」を提案する。デジタル化・ネットワーク化社会において、何がフェアであるかを一つ一つ具体的に定義してゆくことは困難であり、条文の解釈によってフェアを実現してゆくことにも限界がある。
1-9 明確なルールを前提とする社会から、ルールを社会の中から創設する仕組みを前提とする社会へ、脱皮するときではないか。

2. SANARI PATENT所見
  ヤフー別所直哉法務本部長の、上記1-9提案が、わが国社会で公認されるには遠いが(著作権管理団体とデジタルコンテンツ流通機器メーカー団体の主張の相克状況から考えて)、例えば検索機能について著作権法上の問題点が内閣知財戦略本部で指摘されている一方、検索機能はわが国社会全般に浸透して発展しており、ルールが社会の中から創設されている局面も現出していると考える。しかし、デジタルコンテンツの流通の合法性が司法対象となったり、刑事法対象となったりする事態は、これを法的に解消することが、政府の義務である。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Yahoo、Fair Use、デジタルコンテンツ、ヤフー、著作権制限