Pros and Cons to Net Act Proposal

Pros and Cons to Net Act Proposal: ネット法(仮称)導入案に対する賛否:内閣知財戦略本部・デジタル・ネット時代・知財制度専門委(2008-7-10)の論点
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://sanaripatent.blogspot.com/ 「金融と産業」の在り方・経済産業省中間報告(20080710記事)
このサイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/  リチウムイオン電池の安全性確保(20080709記事)

 本年度内閣知財戦略本部知財推進計画策定の後、活発に活動を再開しているのは同本部のデジタル・ネット時代・知財制度専門委で、本日も7月会議が開催されるが、当面の論点の一つは、同専門委委員・岩倉正和弁護士(ニューヨーク州弁護士、一橋大学大学院教授)の「ネット法(仮称)導入の必要性」論と、同専門委委員・椎名和夫日本芸能実演家団体協議会著作隣接権センターCPRA運営委員の「いわゆるネット権、ネット法案反対と対案」論である。

 SANARI PATENTが理解する範囲で、上記両委員の意見を要約する。

1. 岩倉正和委員の意見
1-1 デジタルコンテンツの法的位置づけ
1-1-1 著作権著作隣接権、人格権、パブリシティ権など多くの権利が重畳的に存在し、現行法上、権利集中が進んでいない。
1-1-2 従って、全ての権利者から利用の同意を得られる保証はなく、仮に得られるとしても権利処理に要する労費を考えると採算に不適合という、デジタル・ネット時代に即応しない法不備が現存する。このため貴重なデジタルコンテンツの多くが死蔵されている。
1-2 海賊版(不正使用問題)の背景
1-2-1 ユーザーにはコンテンツを見たいニーズがあるのに、適法・適正価格で入手できないことが、海賊版を却って増長させている。
1-2-2 従って、権利者保護のためには、消費者のニーズを満たすことが実務的に非常に重要である。
1-2-3 法整備により、権利者への還元、再創造にも繋がる。
1-3 新しい法制度・ネット法設計のポイント
1-3-1 インターネットの諸特性への即応
1-3-2 収益の適正な配分
1-3-3 最新のインターネット技術の導入による現実化
1-3-4 ネット許諾義務の創設
1-3-5 Fair Useの規定化(SANARI PATENT注:米国の制度に準ずる構想と考える)

2 椎名和夫委員の意見
2-1 実演家は基本的に、対価を得る機会が増大するコンテンツの二次利用を望む立場にある。従って、これまでも二次利用の円滑化に資するため、経団連における契約ルールの策定などに努力してきた。今回のネット法の提案は、これら実演家の取組を無にしかねない。
2-2 実演家からは次のように提案する・
2-2-1 権利処理上必須となる「権利者情報」の保持について、コンテンツごとにコンテンツホルダーに義務づけることを法制化。
2-2-2 米国DMCAに見られるネット上での様々なルール作りに関する研究と法制化。
2-2-3 通信事業者等が自らリスクとコストを取ってビジネスモデルを確立すること
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Net Act Proposal、内閣知財戦略本部、著作権著作隣接権、デジタルコンテンツ