METI Releases Two Reports Relating International Competitiveness

METI Releases Two Reports Relating International Competitiveness: 国際競争力に関連する競争法制比較と国際物価比較の二つの報告
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://sanaripatent.blogspot.com/ IT経営ガイダンスを経済産業省が発表(20080626記事)
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 日本金銭機械株式会社の企業防衛強化(20080626記事)

 国際競争力強化は、対内対外両面において企業の恒常的課題であるから、今次各社の事業報告にも、特に競争力強化と銘打たずにその対策を述べている。敢えて競争の語を用いた例としては、コスモ石油株式会社が、「投入原油を重質化することによる原料コスト削減と高付加価値製品{白油}の増産による精製マージンの改善により、製油所の競争力強化を図る」と述べている。
 全く異なる業種の例として、株式会社・河合楽器製作所は、「ピアノの海外生産化によりコスト競争力を高めた製品が、欧州市場で拡販した」と述べている。

 さて競争力ないし国際競争力を構成する要因は多岐にわたるが、経済産業省が2つの「競争」関係報告を発表したので取りあえず概観する。企業の経営者・担当者は熟読して各自応用する必要がある。

1.競争法の国際的な執行に関する研究会の中間報告(20080625発表)
  この研究会は、今年初めに発足したが、経団連の阿部泰久・経済第二本部長、東京大学大学院・小寺 彰・白石忠志両教授とも大学4名、弁護士4名、で構成され、甲南大学大学院の根岸 哲教授が座長である。
 
 最近、欧米を中心として、競争法違反に対する取締が活発化しており、特にカルテルに対して取締りの厳格化や厳罰化が顕著であることに対応している。欧州で取締件数が著増し、制裁金も急激に高額化しているが、米国では更に、損害賠償請求訴訟が多数提起され、競争法違反の摘発は企業経営に大きな影響を及ぼしつつある。

 しかしながら.わが国の企業は「自社の競争法違反の可能性」について危機意識が希薄なものが多く、ここに競争法のグローバルな研究が開始されたものである。

2.産業の中間投入に係る内外価格調査結果報告(20080624発表)
  標題の「中間投入」が経済学的で、やや馴染みにくいが、要するに平たく言えば、「日本の電力単価は欧米に比べて割高である」とか、「繊維製品の価格はドイツよりもかなり安い」というような、物価の国際比較を経済学的前提のもとに精緻に算出する調査である。

 工業製品総合では、内外価格差が、わが国製品価格は米国に対しては1.04倍、NIEsに対しては1.20〜1,37倍、中国に対しては1.75倍と、2007年度について報告している。
 同じく素材分野では、中国に対しては1.54倍と価格差が大であるが、全世界平均では1.17倍である。

3.SANARI PATENT所見
  法制の影響も内外価格差の得失も、業種と企業によって様々であるし、制度の改革も加速し、外貨レートも流動するから、上記2報告の研究手法を各企業がそれぞれ自得して、独自に考案・算出し、経営戦略の基盤とすべきである。
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