SANARI PATENT レアメタル代替技術

IP for Rare Metals Shortage:甘利経済産業大臣南アフリカ諸国訪問の「技術・レアメタル互恵関係構築」と、㈱ZnOの非インジウム系透明電極材料開発
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Web検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2007.11.19. 京セラミタマイクロソフト包括クロスライセンス契約
  甘利経済産業大臣南アフリカ諸国を訪問し(2007-11.15〜17)、「日本の技術と南アフリカレアメタルで互恵関係(win-win)を築きたい」と呼びかけたが(meti.go.jp 2007.11.16)、資源外交でレアメタルを確保すると共に、知財開発でグロ−バルなレアメタル需給の逼迫を解決する努力も緊要である。

 内閣知財戦略本部・平成20年度知財戦略計画は、科学技術基本計画の分野別課題に対応して、知財政策の分野別策定を進めているが、科学技術基本計画はレアメタル需給の逼迫に関連して、次のように計画している。
「希少資源・不足資源の枯渇の影響がない持続可能な社会の確立を実現するために、例えば、非インジウム系透明電極材料、非貴金属系触媒等、希少・不足資源使用材料に対して代替材料開発や効率的利用技術を開発する。」
  以下、その知財政策面の課題を考察する。

1. 非インジウム系透明電極材料(SANARI PATENT 注:現在、表示素子用等の電極として重要なインジウム系透明電極材料は、酸化インジウムに酸化スズを添加したITOである)
1-1 先ず、上記基本計画が例示している「非インジウム系透明電極材料」について、現にその開発を進めている㈱ZnOラボの山田晃男社長の自社紹介を見る〔SANARI PATENT要約〕。
1-1-1 インジウムと同等以上の性能を持つZnOの透明導電膜のサンプル出荷を始めている。ZnOに関しては材料・装置・プロセスなど何でも対応できるワンストップサ−ビスを提供する。
1-1-2 最近、インジウム枯渇という資源問題が重要になり、ZnOを代替材料とする需要が増大している。
1-2 透明電極材料は、透明(光を良く通す)かつ導電性が良好であることを要し、上記1の「インジウム系透明電極材料」が、PC、ケ―タイの表示素子、太陽電池プラズマディスプレイパネル等の電極として用いられているから、この分野だけでも、インジウム枯渇問題は重大である。

2.経済産業省の対応
  平成19年度「希少金属代替材料開発プロジェクト」として、次のテ−マを採択している。
2-1  インジウムについて、「透明電極向けインジウム使用量低減技術開発」(三井金属等)、「透明電極向けITO代替材料開発」(三菱ガス化学等)
2-2  ディスプロシウムについて、「希土類磁石向けディスプロシウム使用量低減技術開発」(TDK等)
2-3  タングステンについて、「超硬工具向けタングステン使用量低減技術開発および代替材料開発」(住友電工等)

3.SANARI PATENT所見
  第3期科学技術基本計画が強調しているように、希少資源や不足資源に対する抜本的解決策として、それらの資源の代替材料の革新は必須であり、省資源問題の中でも、最も材料技術に期待されている。日本、ひいては世界で、資源枯渇の影響のない持続可能な社会を目指し、特定輸出国への依存を脱却して国際競争の利益を享受するためにも、希少資源・不足資源代替材料技術に関する知財開発が緊要である。
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