SANARI PATENT 日立ソフトが郵政にSaaS

SaaS World 2007 (28-29 Nov.) Focuses on Software as a Service, Revolution of Business Software, 日立ソフトが郵政公社SaaS提供: 新知財政策対象としてのSaaS
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Web検索SANARI PATENT
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  今月28~29日に、SaaS World 2007 コンファレンスが、IDGジャパンの主催により、東京ミッドタウンで開催されるが、参加企業には、アドビ、オプト、KDDI、グ−グル、シナジ−マ−ケッティング、セ−ルスフォ−ス・ドットコム、日立ソフトウェアマイクロソフトが名を連ね、IBM等、数十社がスポンサ−となっている。
 
 内閣知財戦略本部の情報通信プロジェクトチ−ム報告(2007-10-30)にも、当面対応すべき新たなITサ−ビスのトップにSaaSが掲げられ、中小・ベンチャ−企業を含めて、その理解を深めることが必要である。

1. 総務省情報通信政策局の見解〔SANARI PATENT要約〕
  標記コンファレンスでは、総務省情報通信政策局・秋本芳徳情報通信政策課長の講演が予定され、その要旨は次のように示されている。
 「成長力強化が日本経済の喫緊の課題を示すキ−ワ−ドとなっている現在、情報通信技術による中小企業の成長力の底上げ、サ−ビス産業の生産性水準の向上が求められている。そのための切り札の一つとしてASPやSaaSが注目されている。総務省は、「ASP・SaaS普及促進協議会」を設立するなど、その普及に取組んでいる。」(SANARI PATENT 注:ASP(Application Service Provider)とSaaSが並列されているが、両者の本質的相違の有無については、多様な解説がある。次項。)

2. SaaSについての諸解説
2-1  諸種のソフトウェアの機能を、ネットワ−ク経由で供給するサ−ビスである。(SANARI PATENT 注:この定義が適切である)。
2-2  IT機能のうち、どこまでを自社で行い、どこまでを社外に任せるかという観点から見ると、従来は全て所見IT機能を社内で実行する「インハウス型」(SANARI PATENT 注:諸種のソフトウェアを購入して社内で操作する)が一般的であったが、現在は、必要に応じて特定の機能を社外の専門企業に任せる型が一般化し、更に進んで、BSO(Business Process Outsourcing)を経て、ソフトウェアの 稼動まで社外に任せるSaaSに至った。
2-3  SaaSは、ASPと本質的には同じであるが、その重要性の増大とマ−ケティングの便益のため、新名称で呼ぶことにしたと考えられる。
2-4  SaaSによることの利点は、インハウス型では所要のソフトウェアの実装と実働に時間を要するのに対し、SaaSでは申込み即日的に所要のシステムを利用できることである。稼動開始後の環境変化にも迅速に対応できる。
2-5  インハウス型とSaaSとのコスト比較は、初期費用、経常費用、システムのライフサイクルなどを総合して確認すべきである。

3. 郵政公社SaaS採用
3-1  既に日立ソフトウェアとセ−ルスフォ−ス・ドットコムは、「日立ソフトウェアが、郵政公社のユ−ザ−に、セ−ルスフォ−ス・ドットコムのプタットフォ−ムを提供する」と発表している(2007-9-6)。
3-2  その目的は、郵政公社の民営化に向けて、「オンデマンド型お問合せ報告システム」を構築することであり、これによって郵政公社の顧客対応・セキュリティの万全を期すとしている。
3-3  「オンデマンド型お問合せ報告システム」は、顧客からの問合せ内容・対応履歴なども、登録・集計・分析できる機能を有すると共に、デ―タアクセス権限の制御などにより、内部統制も全うされ得る。

4. SANARI PATENT所見
  大企業・中小・ベンチャ−企業ともに、郵政公社の事例を参考として、SaaSの利点を考究することが適切である。郵政公社の各社の大企業性と、全国2万4千の郵便局の中小企業性、新事業開始のベンチャ−性の全てを実証できるからである。
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