METI Industrial Structure Committee Members Discuss

METI Industrial Structure Committee Members Discuss Global Paradigm Shift:久しぶりの経済産業省産業構造審議会総会
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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 新興国の急成長やエネルギー多様化・基礎資源価格高騰などのグローバルなパラダイムシフトに対応して、産業構造変革の必然性・必要性については異議ないとこであり、従って、経済産業省産業構造審議会総会が真っ先に検討開始すべき局面と思われたが、この審議会の総会は年1回しか開催されない前例になっている。

 今年始めて(そして恐らく今年今回1回だけ)の総会(Aug.27, 2008)における委員の発言が分科会の方向性を示しているものと理解して、その内容(SANARI PATENT要約)を考察する。

なお産業構造審議会の委員として業界からは経団連・御手洗会長(この審議会の会長)ほか数名が交替して参画している。

1. 発言の概要(平成21年度経済産業政策の重点について)(「重点」の内容はhttp://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog のSept.1)
1-1 知財分野でもグローバル化、オープンイノベーションが重要である。新しい時代の知財システムを検討すべきである。
1-2 特許法は50年を経過して(SANARI PATENT注:昭和34年の現行新法成立後という意味)分かり難い面が出てきた。知財システムに継続性は必要だが、時代の要請に基づいて全体を見直すべきである。
1-3 全体として良い政策議論がなされた。
1-4 流通のイノベーションについては、卸・小売を統合したサプライチェーンの構築など垂直的イノベーションの検討を進めるべきである。
1-5 規制緩和の趣旨は消費者の選択に任せることであり、近年増加している認証制度の創設も、最終的には市場の評価に俟つべきである。
1-6 ファッションウイークなど経済産業省の尽力により、アジア中心の観光客の消費が伸びている(国内の消費は落ち込んでいるが)。旅行に関する国際収支も、海外からの観光客の増加と日本人観光客の海外消費減少により赤字幅が縮小して黒字化の趨勢にある。
1-7 国際標準化においては事故情報を活かした製品安全・環境保全に留意すべきである。
1-8 原油・原材料価格が高騰すると、製造委託、部品調達について安全性の担保が心配される。
1-9 省エネについては企業広告の中で国民への情報提供が重要であり、電球型蛍光灯などについては結果として省エネの機運が出てきている。
1-10 小規模電源による創エネについては、中古住宅も含めて検討すべきである。
1-11 イノベーション創造機構(仮称)は、新しいビジネスモデルを打ち出すという施策として重要であり、エネルギー需給構造の革新との接点における取組みが重要である。
1-12 ITについてはアジア電子流通圏が重要である。
1-13 地球温暖化対策については、画期的削減対策について社会としてのコンセンサスが得られておらず、覚悟が一致していない。各施策の経済への影響・犠牲をよく分かるように見せ、あえて実施する必要があるかを考えなければならない。政府内でも省庁間のスタンスが一致していないように見えるが統一すべきである。(SANARI PATENT考察:この趣旨の意見は、底流としてかなり有力であると考える。)
1-14 温暖化対策の技術は、対策を融合的に進めるべきである。
1-15 排出権取引マネーゲーム対象にならないよう措置すべきである。
1-16 排出削減には既存技術では足らず、素材分野のイノベーションが必要である。
1-17 航空宇宙技術について、スペースシャトル後継機など、日本の技術への期待が大きい。
1-18 エネルギー、人口、経済、環境のバランスを構想すべきである。
1-19 コンテンツについては、著作権者中心の議論では進展しない。
1-20 カーボンフットプリント(SANARI PATENT注:一つの商品における原料の採掘や栽培、製造、加工、包装、輸送、消費後廃棄に至る各段階の二酸化炭素排出量の合計)について信頼できる取組が必要である。
1-21 道州制電子政府の実現などに取組むべきである。

2. SANARI PATENT所見
経済産業省の来年予算要求について賛同を得る会議であったような観もあるが、冒頭の知的財産権および特許法関係意見については、産業構造審議会知的財産政策部会の早期再開を望む。
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Industrial Structure、カーボンフットプリント、経団連産業構造審議会、Paradigm Shift、サプライチェーン