Productivity of iPS Be Heightened 100 Times

Productivity of iPS Be Heightened 100 Times:「iPS細胞、作製効率100倍に 米教授がマウスで成功」(asahi.com 20080623-0302)
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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iPSの再生医療利用等に対する関心はグローバルに高く、本日のasahi.comは、米国Harvard CollegeのProfessor D. Melton et al が、「体細胞から万能細胞(iPS細胞)をつくる過程で、特定の化合物を加えることにより、作製効率をこれまでの100倍以上にすること」に、マウス対象の実験で成功し、「ヒトでも同効率が可能であるとしていること」を報じ、本月22日付の米国科学誌 NATURE 
BIOTECHNOLOGY(電子版)に発表と付記している。(SANARI PATENT注:iPSは誘導多性能幹細胞の頭字語であるから、iPS細胞という呼び方では「細胞」がダブルが、通称である。)

 上記asahi.comは、次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
1-1 iPS細胞は、皮膚などの細胞(SANARI PATENT注:胚細胞ではなくて体細胞という意味)に、万能化(多能化)に係る複数の遺伝子を導入してつくる。(SANARI PATENT注:ここで「万能化」に「多能化」と括弧書したのは、括弧書が精確で、induced Pluripotent Stem Cellの和名として適切だが、 万能と言い慣らされた観がある。)Professor D. Melton et alは、京都大学山中伸弥教授と同じく4つの遺伝子を用いたが、これに特定の蛋白質の合成を阻害する酵素など、7種類の化合物を加えて、それぞれのiPS作製効率を調べた。
1-2 化合物を加えないときの遺伝子の導入効率は0.01%〜0,05%であるが、バルブロ酸(蛋白質合成阻害剤)を加えると、9.6%~14%にまで高められた。
1-3 四つの遺伝子から、癌化に係る遺伝子を除いた三つの遺伝子を用いる方法では、これまで、遺伝子の導入効率が.001%と、さらに低かったが、バルブロ酸を加えると、効率が約50倍になった。
1-4 上記1-2、1-3の効果は、バルブロ酸によって、多能化に係る遺伝子が活性化されるためと考えられる。
1-5 山中教授は、「マウス由来細胞による成果とはいえ(SANARI PATENT注:山中教授の場合はホト由来体細胞)、大きな前進だが、今後、化合物の添加に起因する遺伝子変異の有無など、安全性の検討が必要になる」と語る。

2.SANARI PATENT所見
   特許取得関連の情報が黙秘されているのが、最近のiPS関係マスコミの特徴である。しかし、iPSの上位概念である「幹細胞」関連についても、今月に入ってから昨日まで(20080601~20080622)の特許公開件数が「人工皮膚」ライオン株式会社(公開日20080605)など、33件を数える。
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iPS、再生医療山中伸弥、ライオン、幹細胞、遺伝子、バルブロ酸