Surface Conduction Electron TV

Surface Conduction Electron TV Appears by CANONSEDはキャノン単独量産計画に見直し」→「キャノン独自技術で」:東芝との「子会社」の米国解釈
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-1-2 岸田特命大臣による内閣知財戦略本部司会

1. SEDLCDPDP、OELD
1-1 SEDは、表面伝導型電子放出素子(Surface Conduction Electron Emitter)
を用いるディスプレイ装置で、電界放出ディスプレイ(FED: Field Emission Display)の一種として、「表面電界ディスプレイ」と呼ばれる。
1-2 液晶ディスプレイ(LCD: Liquid Crystal Display)、プラズマディスプレイPDP: Plasma Display Panel)、有機ELディスプレイ(OELD: Organic ElectrolominescentDisplay)と共に、SEDについても、それぞれの特徴を競って発揮すべく技術開発が進められている。

2. 昨年初
キャノンのSED生産について、昨年初(2007-1-12)、IT mediaは次のように報じていた。(SANARI PATENT要約)
2-1 キャノンは、東芝と設立したSEDパネル生産会社「SED社」について、東芝保有の全株式を買収して完全子会社化すると発表した(2007-1-12)。SEDパネルは両社で共同生産する予定であったが、特許訴訟難航のため、計画を仕切り直してキャノンが単独事業として行う。
2-2 関連技術のライセンス契約をキャノンと締結した米国Nano-Proprietary社が、「SED社」はキャノンの子会社ではないから、これにライセンス技術は移せない」と主張し、米国連邦地裁に提訴(2005-4)、キャノンは、SED社をキャノン子会社と認めるよう同地裁に求めたが却下された(2006-11)。(SANARI PATENT 注:SED社はキャノンの持株数が1株多い折半出資であったようで、実質議決権から見ればキャノンの子会社であるが、この点が争点の一つとなったと推定される)。

3. 昨年末
上記のその後について、asahi.comは、次のように述べている。(SANARI PATENT要約)
3-1 キャノンがSEDTV の開発に、自社技術で乗り出したことが分かった。当初は米国企業の特許を使う計画であったが、ライセンスをめぐる訴訟が長期化し、商品化の時期(SANARI PATENT 注:遅くとも2007内の予定であった)にメドがつかなくなっていた。
3-2  キャノンは既に独自技術による試作段階に入っており、量産技術の開発を経て商品化を目指す。
3-3  キャノンが開発szのは、映像を映すため電子を放出する部分を製造する基礎技術である。Nano-Proprietaryの特許では、ガラス基板上に電子を放出する膜を形成し、カ−ボンで被覆していたが、安定性に問題があり、キャノンはカ−ボン以外を使う手法を開発した。

4. SANARI PATENT所見
  SEDの商品化については、CEATEC JAPAN 2006が、「SEDの可能性や素性の良さは誰もが認めるが、僅か2mmのスペ−スに10万Vの電圧を印加して電子を放出し、蛍光体を発光させるという技術的困難性がある」という論評を紹介していた。そのほかの困難性も推測されているが、それらの当否は不明で、キャノンの独自技術開発に期待するところ大である。
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SED、キャノン、東芝、Nano-Proprietary、表面電界ディスプレイ