IP High Court Dismisses HONDA/EFTEC Request (2007-12-18)

IP High Court Dismisses HONDA/EFTEC Request (2007-12-18) :本田技研・エフテック原告の審決取消請求事件・知財高裁判決(請求棄却)
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT

1. 本田技研・エフテック
1-1  エフテック(東証1部)は、ホンダ(登記名は本田技研工業)向け売上が9割を占めるサスペンションなどの部品メ―カである。(野村證券東洋経済会社四季報による)
1-2  エフテックは、発明「車両用サスペンションア−ム」について特許出願し、その後、この特許を受ける権利の一部をホンダに譲渡した。
1-3  その後、この出願に対し拒絶査定がされたため、本田技研・エフテックがこれを不服として審判請求したところ、この請求は成り立たないとの審決がなされたので、本田技研・エフテックがこの審決の取消を知財高裁に求めた。
1-4  知財高裁は、主として「発明の容易想到性」により、本田技研・エフテックの請求を棄却した(12月18日判決)。

2. 争点対象の請求項(SANARI PATENT要約)
  次の特徴を有する「車両用サスペンションア−ム」
2-1  荷重の入力面とほぼ平行に配置される平板状の本体部と、この本体部の両側縁に沿って連設された補強部とを備える。
2-2  鋼板をプレス加工することによって形成される。
2-3  内端が相互に間隔をあけた二ケ所で車体にそれぞれ連結される。
2-4  補強部(2-1)は、その補強部が本体部(2-1)の入力面に沿う中心面の上下に跨って、かつ、その中心面より下側に下端を位置させて分布するように、ほぼパイプ状に形成されると共に、その補強部の自由端の端縁は、補強部の外端よりも内側にあって、この外縁と本体部の一側縁の下面との間には隙間が形成されている。

3. 特許庁の審決の要旨(SANARI PATENT要約)
  この発明は、周知技術から容易に想到できるので、特許法29-2により、特許を受けることができない。

4. 本田技研・エフテックの主張
特許庁の審決には手続き上の違背のほか、この発明の進歩性についての判断の誤りがある。

5. 知財高裁の判断
5-1 内端が相互に間隔をあけた二ケ所で車体にそれぞれ連結される車両用サスペンションア−ムは、米国特許明細書等により周知のものである。
5-2 サスペンションア−ムの技術分野において、プレス加工は、従来周知の技術的事項である。
5-3 本田技研・エフテックは、「従来技術を組み合わせるべき技術的必然性や動機づけはない」と主張するが、成形体の形状を適宜選択することは、当業者の創作能力の範囲内である。

6. SANARI PATENT所見
  知財高裁の判決の要旨は、「この発明が特許要件としての進歩性を有しない」ということであって、この判断の要素として、当業者にとっての動機づけの存在を認定したものである。なお「当業者」についてのSANARI PATENT所見は、関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2007-10-23
  極めて密接な系列関係にある本田技研・エフテック両社の、「特許を受ける権利の一部授受」を伴う案件として、手続きの点検を含めて考察すべきである。
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