SANARI PATENT 2008 Software Patent Policy

2008 Software Patent Policy :Inventive Step and Non-obviousness Requirement on Software Patentability 組込ソフトウェア分野、オ−プンソ−スソフトウェア
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
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  平成20年度内閣知財計画の新味である分野別知財計画の策定において、ソフトウェア特許についてはどのような方向性が適切か。先ず第3期科学技術基本計画の記述を見る。

1. 組込ソフトウェア分野:
  ソフトウェア領域について第3期科学技術基本計画は、次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
1-1  組込ソフトウェア分野は、産業分野ごとに各種の要求事項があり、それらが整理されていない現状においては、産学の連携プロジェクトに対して国が支援することが適当である。産学官連携により、実践を通じて生み出された多様なソフトウェアエンジニアリングに関する知識を体系化し普及・展開することによって、ソフトウェアに対するユ−ザ−満足度の向上を目指す。先ずそのためのテストベッド(SANARI PATENT 注:検証・評価のための実証実験の機器・環境)を国が構築する必要がある。
1-2  ソフトウェア分野全般について、人材育成を強化すべきであり、上記のテストベッドをそのためにも活用する。

2.「ソフトウェア間の相互運用性確保」と「オ−プンソ−スソフトウェア活用」:
    現行の内閣知財戦略本部知財推進計画は、上記1と別の観点から、次のように計画している。
2-1  既存の知的財産権制度の利用を前提に、各企業等が保有する知的財産権についてパブリックドメインを構築し、ソフトウェア間の相互運用性の確保等によるイノベ−ションの向上を図るなど、産業界における自主的な対応を促進する。
2-2  オ−プンソ−スソフトウェアを活用したビジネスの更に円滑な発展のため、オ−プンソ−スソフトウェアを活用してシステムを構築する際のベンダ−やユ−ザ−のリスクの所在を周知すると共に、その活用を図る。必要に応じて改訂も行う。(SANARI PATENT 注:オ−プンソ−スソフトウェアは、ソ−スコ−ド、すなわち、人間が読むことができるプログラムの内容が公開され、複製・開変・配布を自由に行うことができるソフトウェア)。

3. SANARI PATENT所見
 ソフトウェア分野の特許は、医療行為分野の特許と共に、各国の対応が異なる点の多い分野であるが、グロ−バルな情報・コンテンツ流通や、人類共通の受益希求の見地から、統一性が最も望まれる分野である。
しかし、現状では考え方の相異の方が目立ち、例えば、Wikipedia (Last Modified 13 Sept.2007)を抜粋すると次のような記述が見られる。
3-1ソフトウェアパテント問題の背景(Background)として、特許制度は、本湿的に属地主義的である(Patents are territorial in nature)。各国は特許付与について異なる基準を有するが、この相異は、特にソフトウェア、すなわちコンピュ−タ関連発明、とりわけ、ビジネス方法関連ソフトウェアについて著しい。
3-1-1 米国におけるソフトウェア特許
3-1-1-1 米国特許商標庁は、特許は「プロセス、機械、製品、組成物」についてのみ付与され、科学的真理・数学的演算は特許性を欠く」という法制上、ソフトウェアを特許対象と考えなかったが、1981年に米国最高裁は、コンピュ−タソフトウェアを用いてゴム原料の加熱工程のタイミングを制御する装置の発明について、それは現実の製造工程にも関係するとして、特許性を認める判決を示した。
3-1-1-2 ソフトウェアを含めて、米国各州裁判所の特許性判断の寛厳の差をなくすよう、1982年にFCAC(連邦巡回控訴裁判所)が設置され、次いで米国特許商標庁は、1996年に、コンピュ−タ関連特許審査基準を定めた。
3-1-1-3 インタ−ネットと電子商取引の活用の拡大に伴い、ソフトウェアによるビジネス方法特許の出願と付与が増加したが、米国特許5193056、同596411、同2388937等は、典型的事例である。
3-2 昨月米国下院で可決された米国特許法改正は、ソフトウェア特許の付与のハ−ドルを厳しくする方向に作用すると、SANARI PATENTは解する。このような動向をも踏まえて、内閣知財戦略本部のソフトウェア分野知財計画が立案されることが望まれる。
ソフトウェア特許、ビジネス方法特許、米国特許商標庁、米国特許法、MPEP、組込ソフトウェア