SANARI PATENT Patent Applications for Human Cell

Patent Applications for Human Cell 「再構成皮膚の構築方法」(特許公開日2007-12-6)など、最近の「ヒト細胞」関係特許公開事例
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Web検索SANARI PATENT

 ヒト体細胞から万能細胞の製作(SANARI PATENT 注:マスコミは制作、最近は誘導と呼んでいる)に日米各研究チ−ムが成功したというニュ−スの報道(2007-11-21)の後、その安全性を確保するための操作について、また、その齧歯類における症状改善の成功について(2007-12-7)、報道が加えられ、「万能細胞」に関する一般の関心と期待が高まっている。
 この「万能」という用語が適切か、疑問を持たずに報道用語として普及したが、当の京都大学研究チ−ムでは、「誘導多能性幹細胞」(Induced Pluri-potent
Stem Cell) と呼んでいる。そこで最近のマスコミは、「万能細胞(iPS細胞)」と、注意深く括弧書きを付して報道している。

 ライフサイエンス分野の発明発見のうちでも、人類が最も希求する医療分野に直結する知財であり、特許要件についても、諸国間の調和のもとに、明確化すべき余地があると考えられる。

 iPS細胞については、新たな知見の公表と共に、関係者が知見を広く深くしてゆくこととなるが、ここには、わが国最近のヒト細胞関係・特許公開の事例を見て、ヒト細胞およびiPS細胞の外郭から理解を深めてゆく。(以下SANARI PATENT要約)

1. 花王「再構成皮膚の構築方法」(特許公開日2007-12-6)
  ヒト培養細胞を用いて、マラノサイトを有し、組織学的および機能的にヒト皮膚に類似し、かつ的数量的および利便性に優れたヒト再構成皮膚を構築する方法を提供する。
2. 国立北海道大学「人工血管用材料」(特許公開日2007-11-29)
  抗血栓性に優れる人工血管を製造するための人工血管用材料として、ヒト血管内皮細胞により被覆されたマイナス電荷を有するハイドロゲルである人工血管用材料であって、このハイドロゲルがポリp-スチレンスルホン酸ナトリウムまたはポリ2−アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウムである人工血管用材料を提供する。
3. クロモリサ−チ「哺乳類人工染色体」(特許公開日2007-11-29)
  体細胞遺伝子治療に使用し得る可能性のある、新規なベクタ−〜哺乳類人工染色体を提供する。
4. ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニ−「細胞培養用の細胞外マトリックスコ−ティングされた表面」(特許公開日2007-11-29)
胚幹細胞を増殖させ、それらの自己複製特性および多分化能特性を、培養物中で長時間維持するための細胞培養用生成物を提供する。
5. ジョ−ズホプキンス ユニバ−シティ スク−ル オブ メディシン「増殖分化因子-8」(特許公開日2007-5-9)
新規な増殖分化因子と、その利用方法を提供する。
6. 筑波大学「経口投与される薬物の胃粘膜への作用を評価する方法および評価するためのキット」(特許公開日2007-11-22
インビトロで行うことができる経口投与される薬物の胃粘膜への作用を評価する方法および評価するためのキットを提供する。
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Stem cell、ヒト細胞、体細胞、万能細胞、京都大学筑波大学
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