SANARI PATENT Fund Procurement for IP Ventures

Fund Procurement for IP Ventures:経済産業省「ベンチャ−企業の創出・成長に関する研究会」中間報告(2007-11-30)
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Web検索SANARI PATENT

 この報告の冒頭に、次のような記述がある。
「昨今、景況の改善に伴う日本社会全般のベンチャ−企業に対する関心の低下、一部企業の不祥事等に端を発する新興株式市場の混乱や上場環境の悪化、ベンチャ−企業に対するイメ−ジ悪化等、「ベンチャ−企業の危機」とも言える状況が生じかねないという見方もある。」
「見方もある」というだけでなく、そのような見方の適否を先ずこの研究会として示すべきであると考えるが、その他にも、「景況の改善に伴う」とか「ベンチャ−企業に対するイメ−ジ悪化」などの記述は、中間報告起草の時点での印象を交えたと推測され、公的報告としては、記述に加えることがふさわしくないと、SANARI PATENTは考える。
 従って、この部分についてのSANARI PATENT所見を加えつつ、今次案報告を要約し考察する。報告の内容が広汎にわたるので、数回に分割して記述する。

 なお、この研究会の委員として、経済界からは、経団連起業創造委員会企画部会長、野村證券執行役、東証上場部部長、ジャスダック会長、日本ベンチャ−キャピタル協会会長などが加わっている。

1. 本研究会の設置理由
 (報告)
  「わが国のイノベ−ションを促進し、日本経済全体の成長と活性化を図るためには、新しい技術やビジネスモデルを有し、大きなビジネスリスクをとって新規事業に挑戦するベンチャ−企業の創出・成長が不可欠である。」
 (考察)
  ベンチャ−が国策上の不可欠性によって、「国家戦略としての知財戦略」(内閣知財戦略本部の用語)の重要な一環として創業を要請される反面、「大きなビジネスリスクをとること」が前提とされる。中小企業企業投資育成?の投資対象においてすら、倒産件数が報告されている。ご参考:
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 倒産リスク現実化による負担は、ベンチャ−起業者のほか、出資者・従業員等が受忍することとなるが、政策的勧奨責任が皆無か、事情により勘案すべきである。

2. ベンチャ−企業数の増加
 (報告)
  「この10年間、新興株式市場の開設、最低資本金規制の撤廃、ベンチャ−キャピタルの成長等、ベンチャ−企業を取り巻く制度的枠組みが急速に整備され、7新興株式市場上場企業数は1400社に達した。この意味で、わが国のベンチャ−企業の創出・成長環境は、この間、飛躍的に向上したと言えよう。」
 (考察)
  ベンチャ−企業を、それ以外の企業と区別する画定基準がなく、「ベンチャ−企業とは、ベンチャ−ビジネスを展開する企業」であり、「ベンチャ−ビジネスとは、これまで無かった新しい製品・サ−ビスを、新しい知識・技術により中小企業が提供すること」という程度の定義にとどまる。

3. 米国との対比
 (報告)
  しかしながら、米国等、ベンチャ−企業が国家の経済成長やイノベ−ションに大きな役割を果たしている国と比較すると、わが国のベンチャ−企業は一層の発展・拡大の余地がある。
 (考察)
  企業規模を捨象して、新知識・新技術による新製品・新サ−ビスの提供が経済成長とイノベ−ションに寄与することは明らかであり、これをベンチャ−ビジネスと名付けるならば、大企業・中小企業のいずれが主としてこれを展開することが得策かの課題となる。
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Fund Procurement、ベンチャ−、野村證券東証ジャスダック、イノベ−ション
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