SANARI PATENT エ−ザイの海外比率

Mr.H.Naito, The President of Eizai Co. States “Patient Value”：エ−ザイは米国バイオベンチャ−買収：アシフェクス（パリエット）の特許侵害訴訟がＣＡＦＣに
弁理士　佐成　重範 sanaripat@nifty.com Web検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/　2007.11.22 王子製紙・三菱製紙の情報用紙連携
　エ−ザイ連結事業の「海外比率６割超」は、わが国医薬品製造各社のうちでも特に高く、知財産業の国際競争力の見地から注目されるが、SANARI PATENTが受信(2007.11.29)したエ−ザイの今次中間事業報告は、Florence NightingaleのSignature、「Human Health Care」をロゴとしたエ−ザイコンセプトの実践報告でもある。
　同時にそれは、米国におけるアシフェックス特許侵害訴訟や、モルフォテック(SANARI PATENT 注：いわゆるバイオベンチャ−)買収発効などの知財戦略の実践報告である。

１． エ−ザイ神経系・認知症薬の増勢
　　野村證券・東洋経済の会社四季報によれば、「エ−ザイ主柱の認知症薬アリセプトは２割増と強烈。主力市場の米国で、高度アルツハイマ−病への適応追加が弾み。抗潰瘍薬パリエットも順調な拡大。研究開発費を軽く吸収。」

２． エ−ザイの「戦略」（SANARI PATENT要約）
2-1　Morphotekを買収
　　　エ−ザイの北米統括会社・Eizai Corporation of North America (New Jersey) は、2000.3にMorphotek Inc. (Virginia)を買収する契約を締結し、米国独禁法審査を経て2007.4に、買収が発効した。Morphotekは、抗体医薬の研究開発を専門とするバイオベンチャ−で、独自のヒト抗体技術をもち、癌・関節リュ−マチ・感染症等の抗体治療薬を開発している。Morphotekの買収によりエ−ザイは、バイオロジクス(SANARI PATENT 注：生体由来の物質や生体の機能を利用して製造した製品)分野への本格的参入を果たし、低分子抗癌剤の開発と併せて、癌患者の多面的ニ―ズに対応する。
2-2 三光純薬（ジャスダック）を完全子会社化
野村證券・東洋経済の会社四季報によれば、三光純薬は第一三共からピロリ菌検出用診断キットの国内販売権を譲受。主力の臨床検査薬を好採算の自社品として販促してきたが、2007.10に、エ−ザイが三光純薬を完全子会社化した。
2-3 米国におけるエ−ザイAciphex 特許侵害訴訟
米国の後発医薬品メ―カに対してエ−ザイが提訴していたプロトンポンプ阻害型抗潰瘍剤Aciphex （日本での製品名パリエット））に関する物質特許侵害訴訟について、米国地裁(US District Court for the Southern District of New York)は、エ−ザイの主張を支持する判決を示したが、相手方は、CAFC(米国連邦控訴巡回裁判所)に控訴(2007.6)している。

３． SANARI PATENT所見
　　わが国健康保険年度における薬価政策の影響で、製薬企業の国内利益が確保され、輸出意欲を阻害してきた、と見られた時期があったが、現在は様変わりしているものの、エ−ザイの海外高比率は傑出している。
　米国等のバイオベンチャ−を買収する戦略の環境については、別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/　2007.11.21「第一三共」に述べた。
　　　エ−ザイが米国地裁で勝ち得た判決について、ACFC（米国連邦控訴巡回裁判所）の判断が待たれる。
（この記事の修正ご要求は、sanaripat@nifty.comに送信下さい）
Eizai、CAFC、バイオベンチャ−、認知症薬、抗潰瘍剤、パリエット