SANARI PATENT NTT 大同メタル工業の国際シェア

Key Bearings Share in World Market as an Index of International Competitiveness:大同メタルの国際競争力: GDP国際競争力と国際市場シェア競争力
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Web検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2007.11.17 次世代ネットワ−クはユ−ザ−主導(総務省
 国際競争力という用語は内閣知財戦略本部で頻用される一方、マスコミには、わが国の国民一人当たりGDPが世界諸国の第15位に低落して「ジャパンアズNo.1」に遠ざかっているような印象を与えている。
 知財戦略が即効的ではないにしても、これまでの知財戦略の集積結果が国民一人当たりGDPの序列でのみ評価されることは、適切でないとというのが大方の意見であろうが、内閣知財戦略本部は、国際競争力を強調しながら、その評価指標を示さない。
 しかし、知財専門家の立場からは、世界市場でのシェアの高位は、国際競争力の重要な個別評価指標と考え、その総合指標が長期国際競争力指標であると考える。

 このような個別国際競争力指標の具体例として、野村IRの最新号が「世界唯一の軸受けスペシャリスト」として大同メタル工業の海外展開を、「新社長に聞く」形で解説している。

1. 全産業イノベ−ションの軸受としての軸受
1-1 軸受は、
1-1-1 構造から、玉軸受、円筒軸受、円錐軸受、円筒軸受、すべり軸受、磁気軸受、流体軸受、
1-1-2 荷重の種類から、ラジアル軸受、スラスト軸受、
1-1-3 作動特性から、無給油軸受、静圧軸受、含油軸受、流体動圧軸受など
に分類されるが、そのイノベ−ションは全産業のイノベ−ションに関係するから、軸受メタルの技術開発は重要な産業分野である。。

2. 軸受業界と軸受メタル業界
2-1 国内の軸受完成品市場規模は年間7千億円程度(2006年度生産金額7009億9100万円)で、日本精工、ジェテクト(豊田工機と光洋精工が合併)、ミネベア、NTN、不二越、SKFなどが名を連ねるが、野村證券東洋経済会社四季報によれば、「大同メタル工業は、軸受メタル専業で最大手。自動車各社に幅広く納入し、建機等の産業機械・造船に及ぶ。ロシアで軸受最大手のZMZベアリングスを買収し、欧米・日系自動車メ―カ剥けに供給体制を整えた。海外比率32%」。
2-2 冒頭引用した野村IRによれば
2-2-1 自動車エンジン向けでは2006年度の世界シェア約3割であるが、自動車メ―カの輸出、海外生産の増加によってシェアを拡大する。
2-2-2 船舶業界で、タンカ−やコンテナ船など大型船に使用される低速ディ−ゼルエンジン向けでは、約70%のシェアを有する。中高速低速ディ−ゼルエンジンについては現在の25%弱を拡販・拡大する。
2-2-3 建機については、大同メタル工業は米国キャタピラ−社へのメインサプライヤ−であり、中国・欧米で拡販してシェアを高める。

3. 大同メタル工業の知財開発(SANARI PATENT要約)
  今年に入ってからの特許公開も27件に及び(2007.11.15)、次のような事例が見られる。
3-1 摺動部材(特許公開日2007-10-18))
一面および他面に表面層が形成された摺動部材において、両面の表面層の耐用期間を均等化する。
3-2 すべり軸受(特許公開日2007-10-18))
軸受性能、特に非焼付性、初期なじみ性、耐キャニテ−ション性を一層向上する。
3-3 摺動部材およびその被覆層形成方法(特許公開日2007-10-18))
固体潤滑剤からなる被覆層を設けた摺動部材において、固体潤滑剤本来の潤滑特性を十分発揮させると共に、基材から固体潤滑剤が早期に剥がれないようにする。

4. SANARI PATENT所見
個別日本企業の世界市場シェアと、同業種・同品目日本企業全体の世界市場シェアを算出し、後者の高率化を、知財政策による国際競争力力の指標とするよう要望したい。このためのデ―タを経団連が集積されたい。
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