SANARI PATENT 「True Nano」のコンセプト

Report of Project Team for Nano-Thechnology (Cabinet IP Headquarters):
中核ナノテクノロジ−(True Nano)の概念とナノエレクトロニクス領域
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Web検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/最高裁の2判決)
  平成20年度内閣知財計画の策定のため、内閣知財戦略本部に、充填産業分野別のプロジェクトチ−ムが設けられ、ナノテクノロジ−・材料分野プロジェクトチ−ムの報告(2007-10-30)も提出されたが、率直に申して、産学連携問題に偏重された内容のように思われる。従って、 下記の諸点について、検討を付加されることが望まれる。

1. 中核ナノテクノロジ−(True Nano)の各分野についての知財政策:
1-1 現在実施中の「第3期科学技術基本計画」は、「ナノテクノロジ−が従来の原理や常識を覆して、科学技術の新しい世界を切り開き、その飛躍的な発展のみならず、産業競争力の強化や、大きな新産業の創出に結びつく可能性のある技術であることを踏まえ、そのような範疇に含まれる真のナノテクノロジ−を『True Nano』と名付ける」と述べた。
1-2 すなわち、True Nanoとは、
1-2-1 ナノ領域で初めて発現する特有の現象・特性を活かすナノテクノロジ−の中核分野である。
1-2-2 従来の延長線上ではない、不連続な進歩(jump up)が期待される創造的なナノテクノロジ−の分野である。
1-2-3 大きな産業応用が見通せるナノテクノロジ−の分野である。
1-3 科学技術会議は、True Nanoを「真のナノ」としているようであるが、これは語弊があるから、SANARI PATENTは「中核ナノテクノロジ−」と訳する。
1-4 平成20年度内閣知財計画は、第3期科学技術基本計画を踏まえて分野別知財政策を策定するのであるから、次項2に掲げる項目について計画を述べることが期待される。

2. ナノテクノロジ−・材料分野の知財政策項目
2-1 中核ナノテクノロジ−や、革新材料の成果が最大限発揮されるべき、ナノエレクトロニクス領域とナノバイオテクノロジ−領域に関する知財政策
2-2 解決困難ではあるが、克服されれば、社会にとって重要な成果をもたらす課題に挑戦する材料領域に関する知財政策
2-3 ナノテクノロジ−と材料の研究開発を推進する技術的基盤となる計測・加工技術に関する知財政策
2-4 ナノテクノロジ−・材料分野を長期的に展望し、戦略と目的をもって進めるべきナノサイエンス・物質科学領域に関する知財政策

3.特にナノエレクトロニクス領域について
3-1 ナノエレクトロニクス領域は、ナノテクノロジ−・材料分野の基盤技術を活かして、将来にわたり国際競争力をもつエレクトロニクス技術を実現することを知財政策の目標とする。ナノエレクトロニクスは、急進展を続ける情報化社会と共に、一層の高機能化が求められる。
3-2 半導体バイスは、シリコン中心の従来デバイスの技術蓄積の上に、新たな高機能化を付加する。それは、デバイス特性サイズがナノ領域に入るため、量子効果などのナノ特有の現象を制御した新たな動作原理のデバイス技術を創出するものであり、新規性・進歩性に富む着想を誘発すべきである。
3-3 すなわち、今後のエレクトロニクス技術は、全面的にナノ領域の技術となり、電子・光の制御が革新の中心となる。知財専門家としても、電子構造や光の振る舞いについての深い理解と、創造的発想に基づく研究開発が重要となり、スピンやテラヘルツ周波数の活用によって将来のニ―ズに対応することが求められる。
3-3 また、カ−ボンナノチュ−ブや、強相関エレクトロニクス材料(SANARI PATENT 注:電子の内部自由度[電荷・スピン・軌道}が複雑に絡み合って多彩な電子相を発現する材料]など、わが国の材料技術の強みをエレクトロニクス技術と融合して、国際競争力ある製品として実用化する知財創出に、知財専門家の知見が集約されることが必要である。
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