SANARI PATENT: IP Multicasting

Promoting Active Use of IP Multicasting: IPマルティキャスト放送へのコンテンツ流通促進
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Web検索SANARI PATENT
1. 内閣知財戦略本部の取組
1-1  コンテンツを活かした文化創造国家づくり、世界最先端のコンテンツ大国の実現を目指して、内閣知財戦略本部の平成19年度内閣知財計画は、諸般の計画の一環として、「IPマルティキャスト放送へのコンテンツ流通を促進する」と計画している。
1-2  その計画内容は、次のように要約される。
1-2-1 IPマルティキャスト放送に関する著作権法改正も踏まえ、地上デジタル放送の同時再送信のため必要な措置を年度内に講ずる。
1-2-2 その際、放送管理番組に関する権利管理情報を、放送事業者やIPマルティキャスト放送事業者など関係者が協力して整備するよう促す。
1-2-3 IPマルティキャスト放送による自主放送について、諸外国の動向を踏まえつつ、著作権法上の取扱の明確化、pロテクションを含む端末技術の標準化の促進、放送番組等のコンテンツ流通市場の整備を年度内中に進める。
1-2-4 クリエ−タの新たな創作チャンスが増えるという視点も踏まえ、IPマルティキャスト放送事業者自らが魅力的な放送コンテンツを創るよう促す。
1-2-5 IPマルティキャスト放送事業者とクリエ−タのビジネスマッチングの機会を年度内に充実する。

2. 問題の理解
2-1  コンテンツ流通の多様化により、国民全体が受益する課題であるが、IPマルティキャスト放送についての知識は必ずしも普及していないと考える。平成19年度内閣知財計画には用語解説が付されていて、IPマルティキャスト放送については、「IPマルティキャスト技術を利用して、閉鎖的なネットワ−ク上に同時に大量の番組情報を配信し、そこからユ−ザ−が選択した番組を受信することを目的として行う放送」と示され、一般消費者にとっても魅力的に期待されるが、この解説よりも詳しい知識の普及が望まれる。
2-2  先ず、ユキキャスト、ブロ−ドキャストに対するマルティキャストの定義から始めなければならないが、
2-2-1 ユキキャストは、特定の相手に対してコンテンツを送信すること
2-2-2 ブロ−ドキャストは、不特定多数の相手に対してコンテンツを送信すること
2-2-3 マルティキャストは、ネットワ−ク内で、複数の相手を指定して同一コンテンツを送信すること、である。
2-3 IPマルティキャストは、一つの送信ノ−ドから、複数の受信ノ−ドへ、同一のIPパケットを送信するための技術であって、ネットワ−ク層プロトコルであるインタ−ネットプロトコルを拡張した技術である。

3. SANARI PATENT所見
  IPマルティキャストにより、不要なトラフィックの減少と負荷の分散を実現しつつ、多様なコンテンツの流通が効率的に対複数送信されるので、コンテンツ振興の見地から、その円滑な普及が望まれる。