Policy Concentration Period

Policy Concentration Period for Innovative Drugs 革新的新薬創出のための集中期間(5年間)に行う具体策
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
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1. 新医薬品産業ビジョンの高速志向
1-1  「新薬開発には非常に長期間を要する」という決まり文句を、イノベ−ション促進と国際競争力強化の観点から、超克する必要がある。そこで新医薬品産業ビジョンには、「新医薬品産業ビジョンの高速志向」に基づき、5年以内を革新的新薬創出のための集中期間として、その具体策を示した。新医薬品産業ビジョンは、次のように述べている。(SANARI PATENT要約)
1-1-1  医薬品の特性として、基本特許の取得が重要であるが、機能が解明された遺伝子やタンパク質などの上流特許の取得や、先端分野における特許取得が下流の医薬品開発に大きな影響を与えるため、上流特許や先端分野特許が円滑に利用されない場合、研究開発を阻害する。
1-1-2 このため、個別の知的財産の保護と産業全体の研究開発競争のバランスをどう図るかが今後の重要な課題である。これに関する具体的な課題として、医薬品業界から、1994年の日米合意に基づく「利用関係の裁定実施権の制限」の見直しが指摘されているが、諸外国との国際協調等との観点から、今後も慎重に検討すべきこととされている。
1-1-3 今日、再生医療、細胞治療、遺伝子治療等の技術革新と共に、培養皮膚等の再生医療製品を扱うベンチャ−企業が興りつつある。先端医療分野の技術革新やベンチャ−企業の創出を推進していくためには、こうした技術に対して速やかに特許を付与することが重要であるから、2003年、審査基準において、遺伝子組換え製剤などの医薬品および皮膚シ−ト等の医療材料を製造するための方法は、同一人に戻すことを前提としている場合であっても、特許の対象とすることが明示された。(SANARI PATENT 注:「同一人に戻すことを前提としている場合であっても」という表現は原文のままとしたが、緻密に読解する必要がある)。
1-1-4 経済のグロ−バルに伴い、企業の諸外国における特許権の取得ニ―ズが高まっており、複数の国で特許権を得るために、同一内容の出願が複数の地域に出願されている。このため特許審査ハイウエイが開始された。
1-1-5 産業活力再生特別措置法等に基づき、企業は機動的に経営資源の戦略的な配分を行い、事業の再構築を進めるべきである。
1-1-6 創薬シ−ズの発見に重要な役割を果たすベンチャ−を育成すべきである。

2. SANARI PATENT所見
  「革新的新薬創出のための集中期間(5年間)に行う具体策」という表題を新医薬品産業ビジョンは掲げているものの、列記された項目は既存ないしは検討中の計画であって、それらの結論と実施を急ぐべきである、と言っているに過ぎない。
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再生医療、細胞治療、遺伝子治療、培養皮膚、遺伝子組換え製剤